【読書レビュー】前田裕二著「メモの魔力」【要約】&【感想】

みなさんは、普段メモを取っていますか?

 

私は、仕事の時にA4サイズのノートにメモを取っていたことがありました。

電話でやり取りをしたときの内容、今後の予定、人と直接会って話をしたときの内容などを日付や時間と一緒に書いていました。

 

ノートにメモを書き始めたのは、仕事量が増えてきたことが原因だったと思います。

仕事が増えると予定や段取りなども必然的に増えてきます。

それに伴って、仕事の手続き的なことも一緒にしなければなりません。

忙しくなってくると、仕事量は頭で覚えていられる範囲を超えてきます。

なので、メモをしっかり書いておくことは大事なことでした。

メモをしておかないと、何か1つぐらいは忘れていたりするものです。

そして、そこから大きなミスにつながっていったりします。

 

人と会うような用件だと、それほど忘れることはありません。

ですが、私の場合、外出する時に、時々忘れ物をしてしまいました。

あるとき、上司の方から

「持っていくものリストを作っておけばいいんじゃない。」

と言われたことがあります。

言われたとおりにリストを作ってみると、かなり効果抜群でした。

 

ただ、少し言い訳になるのですが、外出するとなると、車の予約や訪問先へのアポ取り、持っていく筆記用具や文書、パソコンの借り出し手続きなど、当日までに押さえておかなければならない段取りや調整、持っていく物の用意・確認だけでも意外と結構な量になるのです。

 

仕事の量が多くなるということは、それだけ時間に追われるということになります。

そのような環境で仕事をしていれば、ある程度はその忙しさに慣れてきます。

ただ、慣れてきたからといって少し余裕をかますと、どこか1つ2つ忘れていることがあったりするのです。

そんな時に便利なのが、アナログのメモでした。

 

最初は1枚の小さなメモ紙に、今後の予定や電話でやり取りした内容をメモする程度でした。

ですが、そのようなメモ紙だと、後で振り返って見直すときにバラバラになったり、かさばってきたりして少々不便なのです。

ノートの場合だとそのような不便はありません。

しかも、1冊で数か月は使えます。

後から振り返って確認するときにとても便利なのです。

 

そして、筆記用具にもこだわるようになりました。

電話で話したり人と会って話す場合は、会話をすると同時にメモも取らなければなりません。

そうなると、いかに素早くメモを書けるかが重要になってきます。

そんな時、筆記用具が滑らかに書ける物だとノートにスラスラ書きやすいのです。

そこで私は、色々な筆記用具を使い比べて、書きやすい筆記具を探し求めました。

 

最初はボールペンを使っていましたが、最終的には鉛筆に落ち着きました。

それも2Bとか3Bといった鉛筆の芯が柔らかいものです。

なぜかというと、芯が柔らかいほどノートにメモを書くときに手に力を入れなくても書けるからです。

 

また、どのメーカーの鉛筆がいいのかネットで検索しているうちに色々と鉛筆に関する知識も学ぶことができました。

値段が高い鉛筆ほど使われている鉛の成分が上質なものになっていきます。

各メーカーが世界に誇れるより良い鉛筆を作ろうと研究に研究を重ね、鉛の素材や書き味などにもこだわって作り上げてきた歴史も知ることができました。

メーカーごとに職人魂のようなものを感じることができました。

 

そういった鉛筆の歴史や知識を知るほどに、実際にその鉛筆を自分も使ってみたいという衝動にかられました。

そして、各メーカーの鉛筆を買って、書き比べをしてみました。

実際に書いてみると同じ硬さの鉛筆でも、メーカーごとに硬さや書き味が微妙に違っていました。

ネットで知った知識と、実際にその商品を使ってみた感触の違いも体験することができました。

個人的な感想ですが、日本は世界でトップレベルの良質な鉛筆を作っていると思います。

 

著者は、自他共に認めるメモ魔です。

そもそも何のためにメモをとるのでしょうか?

1つは、メモをした事実から抽象的な考えを導き出し、そこから具体的な行動につなげていくためです。

 

では実際、どのようなことをすればいいのでしょうか?

著者は自分の事例として次のような説明をしてくれます。

 

ファクト:兄が通知表を見て喜んでくれたこと。

抽象化:兄を喜ばせること自体が自分の喜びになっている。

転用:もっと兄を喜ばせるアクションをとる。

 

まず、何か事実があります。

そして、その事実を抽象化していきます。

抽象化というと難しく聞こえるかもしれませんが、安心してください。

抽象化の作業は、そんなに難しいことではありません。

では、抽象化するために、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?

 

「その事実から何か他にも当てはまるようなことはないだろうか?」

「その事実の背景には何があるのだろうか?」

「何か法則がないだろうか?」

「特徴は何だろうか?」

といったことを拾い上げていくのです。

 

さらに付け加えて、コツとしては、

どんなものなのだろう?(特徴)

なぜそうなのだろう?(理由)

ということについて考えてみることで、より深くその事実の本質について考えていくことができるというのです。

そして、その事実から拾い上げたものの中から、具体的に行動に移せるものを作り上げていくのです。

 

ただ、何か事実をメモに取るだけだと、忘れものを防ぐという効果しかありません。

メモをした事実から何か実際に行動に移せることまで考えることに意味があるというのです。

 

そして、著者は、そのような技術を手に入れたとしても、「自分が何をやりたいか」

が明確になっていなければあまり意味がないといいます。

 

自分は何者なのか?

自分が本当に望んでいるものは何なのか?

自分はこれから何をやっていきたいのか?

自分が本当にやりたいことは何なのか?

こういった自己分析をすることで、自分の正体を明らかにしていく手段として、メモがとても役に立つというのです。

 

著者は、自己分析をするために、なんと1000問もの質問を用意してくれています。

実際に著者は、自分が就職活動をしたときに「自己分析ノート」を30冊ほど書いたそうです。

自分を徹底的に深掘りしたわけです。

著者の就活のエピソードとして「好きな色は何ですか?」と聞かれたことがあったそうです。

そのとき著者は

「青と紺と黒です。どれか選んでいただければ、なぜその色が好きかお話しします。」

と答えることができたそうです。

 

ここまで掘り下げて自己分析ができていれば、自分がどういう人間なのかということを自分自身ではっきりと知ることができます。

ただし、そのためには自分と向き合うという膨大な作業時間が必要になります。

 

著者もそこのところはよくわかっていて、読者のことを考えてくれています。

1000問もの質問をこなさなくても、もっと簡単に自己分析ができる方法を紹介してくれるのです。

それは、自分の人生を段階ごとに分けて、ライフチャートというグラフを作ることです。

横軸に自分の年齢、縦軸に感情のプラスマイナスを設定して作成します。

 

横軸の年齢を「幼稚園時代」「小学校時代」「高校生時代」といった単位で見ていくのもいいかもしれません。

それぞれの時代のときに、自分は楽しく過ごせていたか、あまり楽しくなかったのか、自分の感情を正直に波線のグラフにして作っていきます。

 

そして、このチャートで一番注目して見るポイントは、チャートの波の上がり下がりの部分です。

「なぜ上がったのか?」

「なぜ下がったのか?」

自分の感情を大きくアップさせたもの、あるいはダウンさせたものは何なのかを発見していくことが大事になってきます。

なぜなら、それが自分の「生きる意味」や「幸せの源」だったりするからです。

 

私も幼稚園時代から最近までの人生のチャートを作ってみました。

すると、上がっている時期は、周りにいる人たちに恵まれて楽しく過ごせていることが分かりました。

逆に、下がっている時期は、自分と合わない人や環境の中で過ごしていることが分かりました。

どんな人たちと一緒に過ごすのか?

そのことが、自分の人生にとってはとても重要なことで、大事なポイントになっていることがはっきりと明確に分かりました。

 

私もせっかくなので、1日1問のペースで著者が用意してくれた質問をノートに書き出す作業をやっています。

あえてノートに書き出すというアナログな作業を行うことで、自分と向き合う時間が取れます。

その上、自分の考えも整理されていきます。

ノートを見開きで使うので、自分が書き出したことをひと目で見ることができ、使い勝手も便利です。

 

私は、うつ病になって倒れるまでの約5年間は、特に職場での環境に恵まれていなかったことに気がつきました。

パワハラ上司やめんどいことには見て見ぬふりをし、困ったことは下の者に押し付ける人たち、自分の都合しか考えない人たち、自分の利益になることにしか動かない人たち。

自分とは全く価値観が合いませんでした。

もっといえば、職場に入ったときからそういった違和感はずっと感じ続けていたこともチャートから見えてきました。

 

自分が置かれている環境や状況を、自分で客観的に見れるようになるためにも、このチャートはとても使えるツールだと思います。

 

私は、コーチングを学んだこともあり、自己分析の大切さはとてもよく分かります。

また、自己分析をして自分のやりたいことが見つかったとしても、それがどの程度やってみたいことなのか、どこまで本気でやりたいことなのかは、とりあえずやってみて、しばらくやり続けてみないと分からないものです。

 

そして、不思議なことに何かをやり始めていくと、次にやりたいことが見えてきたりするのです。

それは自分が考えてもいなかったようなものだったり、あるいは、やっていることをさらに深掘りしていくものだったりします。

 

人生の時間は限られています。

まずは自己分析から始めて、何か少しでも気になったこと、興味があることがあれば、とりあえず実際にやってみることです。

行動することで初めて人生は切り開かれていきますし、自分らしい人生を歩んでいくことができます。

仮に失敗したとしても、それは失敗ではありません。

その経験は必ず、自分の中に必要な経験値として蓄えられます。

そして、いつか必ずどこかで役に立つことになります。

そうなると、失敗という考え自体も変わってきます。

失敗が失敗でないのなら、何かをやり始めるにもハードルがすごく下がるのではないでしょうか?

みなさんも、自己分析から始めてみて、実際に行動に移していけるように、メモの魔力を使ってみてはいかがでしょうか。