【読者レビュー】アービンジャー・インスティチュート著「自分の小さな「箱」から脱出する方法」【要約】&【感想】
みなさんは、周りの人と楽しく生活できていますか?
例えば、身近なところでは、父、母、あるいは兄弟姉妹がいると思います。
家から出ると、クラスメート、職場の同僚、あるいは職場の上司などがいるのではないでしょうか?
このように、みなさんはそれぞれ生活している環境で、大なり小なり誰か他人と関わっていると思います。
私の場合でいうと、一番身近なところでは妻と4歳の娘がいます。
そして、次に自分の両親や妻の両親、妻の妹がいます。
その次に、ビジネス塾の先生、コーチングスクールで知り合った仲間、職場の同僚や上司といった人たちがいます。
私は、これらの人たちと関わりながら生活をしているわけです。
最近は、直接本人と対面して会うだけではなく、ネットを通じてつながるという方法も珍しくありません。
フェイスブックをやっていれば様々なタイミングで友達になった人たちからタイムラインの情報が流れてきます。
このようにネットで誰かとつながっていれば、家に一人で居たとしても、あまり寂しさを感じることはないかもしれません。
むしろ逆に、友達が多ければ多いほどネットでの対応に追われて忙しく感じるかもしれません。
私は、以前、1か月だけですが、キングコング西野さんが運営されているオンラインサロンに入っていたことがあります。
会員数もかなり多く、サロン内で様々な部が開かれていました。
入部を申請すれば、すぐにいくらでも入部することができました。
ネット上のやりとりとはいえ、かなり賑やかな感じだった印象です。
サロン内を色々見ていると、コーチングスクールで知った人もサロンに入会しているのを見つけたりしました。
ちなみに「その人」とは、直接会ったことはありません。
ネットを通じて、「その人」がコーチングスクールの動画で話されているのを見たことがあるだけです。
なので、私は「その人」の顔や名前、職業などは知っています。
ですが、「その人」は、おそらく私のことをよく知らないと思います。
このように、一度も会ったことがなく、遠方にいる人とでも、気軽に出会えて付き合うことができる環境が整っているわけです。
ところで、みなさんは、自分の身近にいる人たちと仲良く過ごすことができていますか?
私は、3年ほど前までは、妻と時々夫婦喧嘩をしていました。
喧嘩の原因は、周りの人から見れば、小さなことだったりするのです。
ですが、当人達にとっては、小さなことを大きな問題だと感じているのです。
今回の著者は、個人ではなくアメリカの研究所になります。
アメリカ・ユタ州に拠点を置いて、ビジネス、法律、経済、哲学、教育、心理学の専門家が集まり、組織内にある人間関係の色々な問題を解決することを仕事にしている研究所です。
アービンジャーというのは、「先駆け」という意味だそうです。
なので、アービンジャー・インスティチュートを直訳すれば、「先駆け研究所」という感じになるでしょうか。
ところで、みなさんは、次のような経験をしたことはないでしょうか?
「運動会や文化祭のイベントをするとき、自分は与えられた係の仕事を必死で一生懸命やっているのに、他のクラスメートたちはダラダラして動きが悪い」
「職場で自分は一生懸命、朝早くから夜遅くまで働いている」
その上、土日も返上して人の倍以上は働いている一方で、残業もほとんどせず土日も家でゆっくりしている職場の同僚がいる」
「そのことに対して、イライラして腹が立ったり、不公平感を感じたりする」
「妻や付き合っている彼女に対して
『どうしてこれぐらいのことができないのだろう?』
『これぐらいさっさとやってくれればいいのに』
などと感じてイライラしたり、腹が立ったりする」
著者は、このような状態にあるとき、その人たちは「箱」に入っている状態だといいます。
「箱に入る」というのはどういうことなのでしょうか?
著者は自分を裏切るときに、箱に入ってしまうといいます。
小さな赤ちゃんがいる夫婦の例を見てみましょう。
夜、3人で寝ている時に、赤ちゃんが泣き始めました。
それで目が覚めた夫は、妻が寝ていられるように自分が起きて赤ちゃんを
あやさなくてはと思いました。
ですが、すぐ横を見ると、妻は相変わらず寝たままです。
それを見て、夫は、
「妻はなまけている。」
「本当は起きているのに、寝ているふりをしているだけではないのか?」
「ひどい母親だ。ひどい妻だ。」
という気持ちが湧いてきました。
そして、最初は自分が起きて赤ちゃんをあやそうと思っていたのに、妻の姿を見て止めてしまったのです。
これが、「自分への裏切り」なのです。
「自分への裏切り」は、人のために何かをすべきだと思いながら、それをしないときに起こります。
そうなると、「自分への裏切り」を正当化するために、自分が正しいといういいわけを考えたり、相手が悪いと考えるようになってしまうのです。
この場合だと、夫は妻に対して「怠け者で思いやりがない」といった悪い感情を持つようになるわけです。
ここで注目するのは、「箱」に入るタイミングです。
夫は、自分が赤ちゃんをあやすのを止める前までは、妻に対して悪い感情を持ってはいませんでした。
自分を裏切り「箱」に入ったとたん、妻を悪く思い始めたわけです。
そして、一人が「箱」に入ってしまうと、それに合わせて相手を「箱」に入れてしまうことになっていくというのです。
誰でも文句を言われたり悪く言われたりすると、それを言ってきた相手に対していい感情は持たないですよね。
そして、お互いに相手を悪く言い合うようになり、仲違いが起きてしまうというのです。
このように自分を含め、周りの人も「箱」の中に入ってしまうと何もいいことは起きません。
何か問題を引き起こしたり、ストレスを感じたり、チームワークが悪くなったり、悪口を言い合ったり、やる気がなくなったり、信頼関係が崩れたりしていくのです。
著者は、このような「箱」に入ってしまったときに、やっても無駄なことがあるといいます。
1 相手を変えようとすること
2 相手と全力で張り合うこと
3 その状況から離れること
4 コミュニケーションを取ろうとすること
5 新しいテクニックを使おうとすること
6 自分の行動を変えようとすること
だというのです。
私も、周りの人との雰囲気が良くなかったときのことを思い出して、その状況を振り返ってみました。
そうすると、そのときに「やっても無駄」といわれていることをたくさんやっていたことに気がつきました。
それで悪い雰囲気のまま、なかなか良い関係に戻らなかったことが分かりました。
当時、これらのことを知っていれば、そのとき使ったのにと思ったりします。
ですが、過去のことはいまさらどうにもできません。
では、どうすればこれから付き合っていく人たちと悪い関係に入らなくて済むのでしょうか?
それが分かれば、今後の人生に生かすことができます。
まず「箱」から出るためには何をすればいいのでしょうか?
著者は
「箱の中にいようが外にいようが実行できる」
「行動することでは箱の外には出られない」
といいます。
では、どうすればいいのでしょうか?
それは「相手に逆らうのをやめた瞬間に、箱の外に出ることができる。」
というのです。
そうすることによって、自分を正当化しようという考えや感情から解き放たれるからだというのです。
なので、「箱」から出る方法は、いつも自分の目の前にあるわけです。
相手のことを尊重すべき一人の人間として見始めた時に、箱の外に出ることができるのです。
そして、著者はさらに、箱の外に居続けるために肝心なことは、周りの人に対して、もっといろいろなことをしてあげなくては、と強く感じる感覚や気持ちを大事にすることだといいます。
ですが、だからといって自分が周りの人にしてあげようと感じたことを全部しなければいけないというわけではありません。
また、著者はこれらのことを知ったからといって、必ずしも箱の外に出られるわけではないといいます。
知るだけではなく、それに即して生きなくてはならないというのです。
学んだ知識だけを周りの人に当てはめて他人を評価しているうちは、学んだことに即して生きているとはいえないというのです。
実際の生活の場で、これまで嫌だった人も含めてどうすれば周りの人たちの力になれるのかを学ぶことです。
そうすることで、初めて学んだ知識に即して生きることができるというのです。
このことは、私がコーチングスクールで何度も言われてきたことと同じです。
また、ビジネス塾でも、先生に言われてきたことです。
つまり、いくら知識を学んでも、学んだ知識を実際に実践、実行しないのであれば意味がないのです。
いかに実践、実行することが大事かは、実践的なトレーニングをしながら学んできた私にはよくわかります。
コーチングスクールで学び終えてからも、日々、何か新しいことをやろうと意識して行動に移しています。
それは小さなことでも構わないのです。
「行ったことがないコンビニに行ってみた」というレベルでも十分です。
実際に行動することで、何かしら学べることは必ずあるのです。
私は、先日、新しくできたセブンイレブンに行ってみました。
セブンイレブンには他の店舗で何度も行っていますから、店内の概要は知っています。
ですが、「初めてそこのセブンイレブンに行く」ことが大事なのです。
私は,そこのセブンイレブンで82円切手を買いました。
レジの店員さんはアジア系外国人の若い女性の方でした。
その店員さんは、一生懸命、カタコトの日本語で丁寧に対応してくれました。
私におつりを渡すときも、間違えないように再度、懸命におつりを確認する姿がとても印象的でした。
私が店を出るタイミングでも元気な声で「ありがとうございました」と声をかけてくれました。
私は、この外国人女性店員さんが、最初から最後まで一生懸命に働いている姿にとても感動したのです。
実は、ちょうどこの出来事の数日前、私は、別のコンビニでも82円切手を買ったのです。
ですが、そのコンビニの日本人女性店員の態度がとても悪かったのです。
そして、そのことで、私は数日イライラが続いていたのです。
それだけに、余計セブンイレブンでの外国人女性店員さんの態度がとても素晴らしく好印象に感じることができたのです。
このように、ちょっとした小さなことでも新しいことにチャレンジをしていれば、そこから学べることや得られるものは何かしらあるものです。
今回の本は、物語として書かれているのでとても読みやすいものとなっています。
色々な場面で人間関係に悩んでいる人にとっては、とても参考になると思います。