イケダハヤト著「旗を立てて生きる」について

みなさんは、どのように働きたいと考えていますか?

 

私は、ちょうど2年前、仕事の過労で倒れてしまいました。

今では外出もできますし、お店に入ったりもできます。

たいていの日常生活はできるくらいに回復しました。

ただ、人と会って話をすると一気にエネルギーが消耗され、あとからジワーッと疲れが出てきてダウンしてしまいます。

今も心療内科に通いながら療養を続けているのです。

 

私が過労で倒れるまでの、自分の働き方を振り返ってみました。

すると、ちょうど倒れる4~5年前からでしょうか、年齢的な役職もあると思いますが、仕事が段々ときつくなってきました。

それに加えて、パワハラ上司や、めんどいことには見て見ぬふりをする職場の同僚に囲まれた状況でした。

そのような状況でしたが、私は見て見ぬ振りができない性格です。

自分のことで精一杯なのに、自分から余計な仕事を抱え込み自分を追い詰めていました。

自分でも馬鹿だとは思っています。

 

それと同時進行して、結婚や子供が生まれるということが続きました。

そうすると、さらに家庭での家事、育児といった負担も増えてきます。

実際に体が悲鳴を上げ、倒れてしまった後に、ようやく自分の働き方や家事、育児、趣味などといった生活全般について向き合うことができました。

 

落ち着いて自分の生活を振り返ってみると、倒れる前の生活は、ほとんど仕事中心に偏ったものでした。

知らず知らずのうちに、世間や職場の常識に洗脳されていたのです。

・一生懸命仕事をすることは当然だ。

・働けば働くほどいい。

・時間外労働だろうが、サービス残業だろうが、たくさん働くことは立派でカッコイイ。

という考え方でした。

まさしく昭和の高度成長期時代の考え方です。

 

確かにお金をいただいて働く以上は、真面目に働かなくてはいけません。

ただ、どこまでどのように働くかは、自分の心身の調子や家族状況などを見ながら、その時々に応じてよくよく考える必要があります。

倒れてしまっては、元も子もないからです。

それどころか、倒れてしまえば本人だけの問題ではなくなります。

結果的に家族や職場にも迷惑をかけてしまうことになってしまいます。

 

私は、自分が過労で倒れてから初めて、毎年3万人近くの自殺者がいることや、うつ病になる人が近年急増しているといった社会状況を知ることができました。

自分が倒れるまでは、そのような社会状況などまったく知りませんでしたし、知る機会もありませんでした。

毎日、馬車馬のように働かされ、目の前にぶら下がったニンジンを追いかけるように、ただ目の前にある仕事をこなしていくだけの生活でした。

今思えば、職場にいいように使われていただけなのです。

完全に社畜として職場の奴隷のとして働かされていたわけです。

 

著者は、自分の人生において何が一番大切なのかを本気で考える必要があるといいます。

著者にとって仕事や会社はあくまで人生のおまけです。

家族とのんびり幸せに暮らすことさえできれば、それで十分ハッピーだというのです。

一番避けたいのは、仕事や会社のために家族を犠牲にすることだといいます。

 

この考えは、私には実感としてよくわかります。

私は、自分が過労で倒れ、初めてこれまで見えていなかった家事や育児の大変さが身にしみてよくわかるようになりました。

不安な気持ちの中、倒れた自分の世話や小さい子供の育児を同時にこなしてくれた妻には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

著者は、これからは「死ぬまで低年収で働く」覚悟が求められるといいます。

人口も減り、経済も停滞し、年金も頼りになりません。

給料というシステムに慣れてしまうと、いざとなったときに自分の力で稼いでいく力が失われてしまうというのです。

働き方に絶対間違いないというものはありません。

ただ、ガチガチに会社に縛りつけられるのはやめたほうがいいでしょう。

 

そうならないためには、自分でなんとか生活してけるような技術やネットワークを作ることが大事になります。

ブログやツイッターなどを使って、外の世界に向けて自分の考えを発信しながら、自分に正直に自分なりの問題意識を持って働くことが大事になってきます。

 

著者は、サイモン・シネックのゴールデンサークルのフレームワークを紹介しながら私たちに問いかけをしてきます。

どういうものかというと、働く上でもっとも大事なのは

「なぜその仕事をやるのか?」

を考えることです。

 

例えば、著者の場合

WHAT(何をやるか)は、NPO支援とブログ運営。

HOW(どうやるか)は、マーケティングとメディアを用いて。

WHY(なぜやるか)は、埋もれている価値ある情報を伝えるため。

と自己分析しています。

 

これを今の私の仕事に当てはめてみると

WHAT、(何をやるか)、HOW(どうやるか)は、職場での事務作業をこなしていく。

WHY(なぜやるか)、生活費を稼ぐため。

ということになります。

 

もし給料がもらえなかったら、今の仕事を辞めますか?

と質問された場合、99パーセントの人が

「当然、辞めます」と答えるといいます。

ですが、本人が問題意識を持ってその職場で働いていれば、

「いや、辞めませんよ」という答えになると思います。

 

高度成長時代と比べ、これからの時代は「お金を稼ぐ」ことがとても大変なことになってきます。

そして「お金を稼ぐ」という重圧に耐えられず、私のように心身を病んでしまう人も、これからはたくさん出てくると思います。

そこで、著者は

「お金のために働く」ことから

「世界の問題を解決するために働く」

ように問題意識を変えていく必要があるというのです。

そうすることで、働くことが今よりもずっと楽しくワクワクするものになっていくといいます。

著者は、働いていく中で問題意識を見つける方法を紹介してくれます。

他人と関わったり、本を読んだり、とにかく行動してみることです。

 

私も本はよく読みます。

その一方で、あまり人と関わることは得意ではありません。

むしろ、あまり好きではありません。

だからといって何も行動しなければ、いつまでたっても何も現状は変わりません。

 

私は、東京のコーチングスクールに通ってコーチングを学んだことがあります。

そのとき学んだことの1つが、とにかく行動することでした。

行動して失敗したとしても、必ずそこから何か得られるものがあります。

そうなると、失敗が失敗ではなくなるのです。

さらに、もしうまくやることができれば大成功というわけです。

 

コーチングスクールに通うという、これまで自分がやったことがないことにチャレンジしたからこそ今の自分があるといえます。

おかげで周りを気にせず、自分らしく生きていく方法を学ぶことができました。

これも、コーチングスクールに通う決断をして、実際に東京までスクールに通うという行動を起こしたからこそ成長することができたのです。

 

著者は、これまでにブログの方針を変えてきたそうです。

方針を変えることに正解があるかどうかは関係なく、「自分を変えなきゃいけない」と自分がその時思ったことに正直に生きてきたのです。

市場を分析したり、直感を信じたりして新たな道を模索してきたというのです。

 

これは、コーチングでいうとゴールの更新になります。

人生に完璧なゴールなどありません。

ですから、ゴールは常に更新されていくものなのです。

コーチング的な視点から見ると、著者は順調に人生を歩まれているといえるでしょう。

 

著者は、今の若い世代の人たちは、「上昇」の方向性が多様化しているといいます。

高度経済成長期を過ごした年代の人たちにとっては、「出世」や「お金を稼ぐ」といったことに、上昇の価値観が置かれていたといいます。

ですが、今の若い世代の人たちは、「社会問題の解決」や「影響力の獲得」や「自由でいること」を上昇という価値観として捉えているというのです。

 

私はこれまで、どちらかというと旧世代の価値観で生きてきました。

ですが、過労で倒れてからは若い世代の人たちの価値観にとても共感するようになりました。

お金があっても、家族や自分の心身が犠牲になってしまえば、元も子もないことを身をもって体験したからです。

世の中が変われば、それに伴い考え方や価値観も変わっていくでしょう。

旧世代の価値観に従い、頑張って働いたところで自分も周りも苦しくなるだけです。

それよりも、若い世代の人たちが何に価値を見出しているのか、何に興味を持っているのかを見逃さないように注目することが大事です。

なぜなら、若い世代の人ほど、世の中の動きに敏感だからです。

そして、若い世代の人から学んだものを、自分の働き方に活かしていけばいいのです。

そうすることで、自然と時代に合った生き方ができるようになると思います。