【読書レビュー】日本放射線監視隊著「ガイガーカウンターGuideBook」【要約】&【感想】
みなさんは、ガイガーカウンターというものを知っていますか?
ガイガー・ミューラー管に飛び込んでくる放射線を検知して、放射線量を測る装置のことです。
管の中に放射線が飛び込んでくると、パルス電流が流れるので、それを測定するそうです。
ガイガー・ミューラー管は1928年にドイツで開発されました。
開発されて80年以上が経過していますが、現在でも使われ続けているそうです。
そのことから、放射線量を測るのに、原理的には完璧なものであることがうかがいしれるといいます。
放射線には
α(アルファ)線
β(ベータ)線
γ(ガンマ)線
の3つがあります。
厚さ0.02mgから1cmくらいのアルミ板で防ぐことができるそうです。
γ線は粒子ではなく、電磁波、つまり光子になります。
とても透過能力が高いため、厚さ10cmくらいのアルミ板や厚さ2cmくらいの鉛板で、なんとか半分くらい防ぐことができるそうです。
ガイガー・ミューラー管は、α線、β線、γ線を分けて検出することはできないそうです。
放射線を大量に浴びてしまうとどうなってしまうのでしょうか?
200ミリシーベルトの放射線を浴びると全身被ばくと認定され、人体に深刻な影響を与えるようになるそうです。
5000ミリシーベルトの放射線を浴びると、下痢や出血、脱毛といった症状が出てきます。
さらに、50000ミリシーベルトの放射線量を浴びてしまうと、全身障害で48時間以内に死亡してしまうそうです。
そもそも、私たちは宇宙から降り注ぐ「放射線」を毎日浴びているそうです。
ですが、人体に強い影響の出ないレベルなので心配する必要はないそうです。
私たちが普段の生活の中で強く放射線を浴びることはあるでしょうか?
レントゲンを1回受けると、約0.05ミリシーベルト。
東京―ニューヨークを飛行機で往復すると、約0.19ミリシーベルト
CTスキャンを受けると、約6.9ミリシーベルト。
の放射線を浴びることになるそうです。
これぐらいの放射線量であれば、人体の健康に問題はないそうです。
本書が発売された2011年6月14日の時点では、ガイガーカウンターはほとんど外国製のものばかりです。
東日本大震災が起きるまでは、「放射線測定器」「線量計」の文字がタイトルについている本は1冊もなかったそうです。
また、「放射線測定器」も国内に在庫がわずかしかなく、そこに多くの人が殺到したため、かなりの高値で取引されたようです。
本書で紹介されている「ガイガーカウンター」は多くが外国製です。
本書を書くために集めたようですが、入手するのが困難だったようです。
また、入手したガイガーカウンターのほとんどに、日本語マニュアルはついていなかったそうです。
チェルノブイリ原子力発電所が残っている「ウクライナ」にある会社が作っているもの。
ロシア製、ウクライナ製のガイガーカウンターは、原発事故が起こった国でもあり、総じて作りがいいそうです。
意外と中国が、ガイガーカウンターを多く作っています。
ただ、使い勝手がロシア製、ウクライナ製ほどよくなさそうです。
また、表示される文字が漢字なのですが、日本の漢字とは意味が違っているので、分かりにくいかもしれません。
2019年になると、日本製の放射線測定装置もたくさん作られるようになりました。
ネットで調べると簡単に見つけることができます。
また、ガイガーミューラー管を使った測定器以外にも「シンチレーション検出器」や「半導体検出器」など、違ったタイプの放射線測定器も出ています。
値段は、6万円代から5千円を切るものまで幅があります。
放射線は一様に拡散するわけではないそうです。
風向きや地形によって大きく左右されるようです。
福島県や宮城県以外の一部の地域で高い放射線が検出されるのも、そういった理由からということです。
本書で福島第一原発から
「約57km」離れたサービスエリア
「役37km」離れたサービスエリア
で放射線を測定しています。
結果は
「約57km」離れたサービスエリアで「1~2μSv/h」
「約37km」離れたサービスエリアで「0.16~0.24μSv/h」
の数値だったそうです。
距離が遠く離れている地点の方が、検出された数値が高かったのです。
ただ、「1~2μSv/h」レベルなら心配無用とのことです。
本書ではさらに
「エカナイト」という宝石
「アトムレンズ」というカメラレンズ
「アトムマントル」というランタン
などからも放射線物質が出ていることが紹介されています。
特にこの「アトムレンズ」と「アトムマントル」は、意外と高い放射線物質を出しています。
以前は身近に使われていたようです。
今では新品の「アトムレンズ」や「アトムマントル」は入手できないそうです。
本書は少し古い本ですが、放射線やガイガーカウンターについての基礎的な知識を学ぶことができます。
ガイガーカウンターを通して、ロシアやウクライナといった国の事情も少し知ることができました。
紙数のほとんどが、ガイガーカウンターのカラー写真に使われており、見やすい上にとても読みやすいです。
放射線に関する基礎知識を知りたい方にはちょうどいい本だと思います。