梅田悟司著「言葉にできるは武器になる」について
みなさんは、普段、言葉を意識していますか?
私は、話すときは無意識で言葉を選んでいることが多いです。
何をしゃべろうか、どう答えようかと考えていたらなかなか話が進みませんよね。
ですが、文章を書くときは、とても言葉を意識しています。
文章の場合は会話と違って時間をかけて作れることが大きいです。
一度書いたものでも、後から何度も見直しできます。
私は、コーチングスクールに通っているときに、分かりやすい文章を書くように鍛えてもらいました。
ブログの文章も何度も見直し、なるべく分かりやすくなるように意識しています。
今回の本は、電通に勤務するコピーライターが言葉について書いています。
電通は、日本で最も大きい広告代理店です。
つまり、言葉についてプロの中のプロが、言葉について書いているのです。
みなさんも、缶コーヒージョージアのCMで
「世界は誰かの仕事でできている。」
「この国を、支える人を支えたい。」
という言葉を聞いたことはないでしょうか?
実は、この言葉を作った人が今回の著者なのです。
言葉についてプロ中のプロは言葉についてどのように考え、どのように言葉を創り出しているのでしょうか?
著者は、言葉には2つの種類があるといいます。
それは、「外に向かう言葉」と「内に向かう言葉」です。
そもそも言葉とは何なのでしょうか?
言葉というのは、「意見を伝える道具」です。
なので、まず言葉として伝える前に「意見」を育てなければならないというのです。
言葉が生み出されるまでには
- 意見を育てる
- 意見を言葉に変える
という作業をしていくことになります。
人は何か考え事をするとき、無意識のうちに頭の中で言葉を使っています。
何か自分に対して疑問を投げかけて、自分でその疑問に対して答えたりしているのです。
このとき、無意識のうちに出てきている言葉が「内に向かう言葉」になります。
心の中で自分と対話をすることは、内なる言葉を使って自分の考えを広げたり、深めたりしているのです。
自分の心の中での会話のやりとりは、自分でも気がつかない無意識のうちにされることが多いのです。
なので、意識的に自分が心の中でどんな会話をしているのか常に意識しておかないと、自分の心の声を聞き逃してしまいます。
この心の中での会話で使われる言葉が多くなればなるほど、自分が使う言葉の幅が広がっていくことになるわけです。
「外に向かう言葉」というのは、自分が心の中で考えた言葉を、自分の意見や気持ちとして他人に伝える言葉のことです。
もし、言葉を磨きたいのであれば、いったん「外に向かう言葉」に目を向けるのをやめてみましょう。
それよりも、まずは意見として浮かんでくる「内なる言葉」を育てていくことが大事なのです。
何かを伝えたいという思いが大きくなっていけば、自然と言葉に重みや深みが出てくるようになります。
「この思いを伝えたい。」
「伝えなければならない」
という感情や気持ちが心の底から湧いてきます。
そして、人間の行動には必ず何らかの動機があります。
「伝えたい思いがある」
「自分の思いを理解して欲しい」
という気持ちや感情が言葉に付け足されていくわけです。
それが言葉を磨く原動力になるのです。
結果として、言葉にも重みや深み、凄みがにじみ出てくるようになるのです。
みなさんは、どういった時に自分の心の中に言葉が浮かびますか?
・悲しい時
・楽しい時
・昔を振り返る時
・将来のことを考える時
・難しいことにでくわした時
・何かうまくいった時
・友達が困っている時
など色々な場面があると思います。
こうした場面で自分の心の中に沸き上がってくる感情を、「悲しい」とか「うれしい」というように、漠然と受け流すだけではなく、その感情としっかり向き合うことが大事なのです。
こうしたことを意識して繰り返していくことで、自分の内なる言葉に幅や奥行きが出てきて言葉の力がついてくるのです。
同じドラマを見ていても、どこで感動するかは人によって全く違っていたりします。
なので、他人の意見や感想は気にする必要はありません。
あくまで、自分がどのような物の見方をしているのか、どういった考え方をしているのか、どのように感じているのかということに自分で気がつくことがすごく大事なことのです。
みなさんも、内なる言葉をさらに豊かにしたり強くしたりしたいと思いませんか?
そこで、誰にでもできることがあるのです。
それは、自分の心の中に内なる言葉を磨くサイクルを取り入れることです。
まず始めに、頭の中に浮かんでくる内なる言葉をどんどん紙に書き出してみてください。
そのことによって、自分の考えていることを自分の目で見える形にすることができます。
そうすると、自分の考え方のクセや、自分の考えで足りないところが見えてくるようになります。
次に、紙に書き出した考えで足りないと思う部分を考えてみましょう。
さらに幅を持たせるにはどうすればいいかも考えてみましょう。
こうして自分の考えをどんどんふくらませていくのです。
そして最後に、ここまで考えてきたことの逆のことを考えてみます。
例えば
・できる→できない
・やりたい→やりたくない
・好き→嫌い
・味方→敵
という感じです。
この作業をすることで、新しい発想が出てきたり考え方を柔らかくしたり、色々な可能性を考える力がついてきます。
自分の内なる言葉をどんどん磨いていくことで、普段の生活が豊かになります。
同時に、外に向かう言葉も鍛えられていきます。
自分の思いや考えに内容があるからこそ、その言葉が相手の心に響き、気持ちを動かすことができるのです。
なので、どのように話すか、どのように書けばよいか、といった表面的なテクニックだけ身につけたとしても、薄っぺらな言葉であれば想いは人に伝わらないのです。
中でも私にとってすごく大事だったことがあります。
それは、自分が心の中でつぶやいている言葉を自分できちんと把握することでした。
そのようなことがなぜ大事なのでしょうか?
私たちは無意識のうちに、周りから言われる言葉の影響を受けています。
そして、自分では気がつかないうちにその言葉のとおりに操られてしまうのです。
実際に、普段自分が考えていることを強く意識して拾い出してみました。
その結果、分かったことは意外なことでした。
それは、自分が思っていた以上にマイナスの言葉を使っていたり、否定的なことを考えていたり、他人を批判するようなことを頭の中でつぶやいていたのです。
・現実的には難しいだろうなぁ。
・周りの人は反対するだろうなぁ。
・絶対にうまくいくわけではないしなぁ。
・時間とお金もかかるしなぁ。
・どうしてあの人は、こんなこともわからないのだろうか。
・やっぱりあいつはダメだ。
このようなマイナスの言葉や否定的な言葉や考えに浸っていると、その人はどのような人になるでしょうか?
おそらく、積極的に自分から動いたり、何か新しいことを始めたり、人とうまく関わっていくことはしないと思うのです。
実際、私がそうでした。(笑)
ですが、自分の心の中の言葉をはっきり自分の意識に上げれば、それを書き換えることができるようになります。
私はそのことを学んでからマイナスの言葉や否定的な考えが激減しました。
マイナスな言葉や否定的な考えをしていることに自分で気がつけば、いったんそういった言葉を全て真逆のプラスの言葉に変えていく作業をやり続けました。
それができるようになれば、次はどんな小さなことでもいいので自分ができたことを見つけて、それを大げさにほめていきましょう。
例えば
・朝ちゃんと起きることができた。
・あいさつがちゃんとできた。
・家事の手伝いができた。
こんな感じでなんでもいいのです。
このような小さなことを意識して積極的に見つけていきました。
そして、できた自分のことを「自分はすごい」、「よくやっている」、「成長している」などと無理矢理に褒めてしまいます。(笑)
1か月もするとマイナスな言葉や否定的な考えはほとんど消えてしまいました。
やっていることはすごく地味ですが効果は抜群です。
今回の本はコーチングで学んだことを、改めて言葉のプロから見た視点で見直したり考えたりすることができました。
言葉の使い方次第でその人の人生は大きくガラッと変わります。
まずは、ほんの少しだけ意識を自分に向けることから始めてみてはいかがでしょうか?