【読書レビュー】佐藤航陽著「お金2.0」【要約】&【感想】

みなさんは、お金って何だと思いますか?

 

お金があれば、自分が欲しい物を買うことができますよね。

お腹がすいたら、コンビニでパンやおにぎりを買うこともできます。

ゲームがしたいと思えば、ゲームソフトを買うこともできます。

旅行がしたいと思えば、バスや電車、飛行機に乗ることもできます。

ホテルに泊まることもできます。

 

私たちは、何か自分が欲しいと思うものがあれば、その価値に見合うだけのお金を支払っています。

お金を支払う方法も昔に比べて増えてきた感じがします。

1990年代頃は、直接、店員さんに現金を支払うか、クレジットカードを使って支払いをするぐらいしか方法がなかったと思います。

 

最近では、スマホをかざすだけで支払いができます。

そのお店でしか使えないプリペイドカードを使って支払いをするお店も増えてきました。

アマゾンや楽天でも、スマホやパソコンからクレジットカードを使って支払いができます。

私がインターネットを始めた頃は、まだクレジットカードを使ってネットで買い物をするのは、何か危険で怪しいという感じがありました。

今では、ネットで買い物することはごく普通のことになっています。

むしろ、少しずつ現金を使うことの方が少なくなってきているのかもしれません。

 

このように、私たちの生活の中でお金の存在は切っても切り離せない関係にあります。

著者は、お金の成り立ちやお金が現在どのように扱われているのか、あるいはこれからお金の姿がどのように変わっていくのかについて説明してくれます。

そして、お金の姿の移り変わりを見ながら、私たちの経済活動の変化についても説明してくれます。

 

そもそも、お金はどこで作られているのでしょうか?

お金は、その国が管理している中央銀行で作られています。

日本だと日本銀行になります。

実は、このように国がお金を管理するようになったのは、そんなに昔のことではないのです。

 

世界で最初の中央銀行は、イギリスのイングランド銀行だと言われています。

1833年に、イングランド銀行が発行する銀行券が、国の法律でお金として定められたそうです。

その後、他の国々がイギリスの真似をして、自分たちの国に中央銀行の仕組みが取り入れられていったのです。

1960年には50か国まで広がり、現在では大半の国に中央銀行があるそうです。

少し過去を振り返ってみると、国が管理する中央銀行がお金を発行するというシステムは100年ほどしか歴史がないのです。

最近よく耳にする仮想通貨が10年、20年後には新しいお金の基準になっていてもおかしくはないのです。

 

著者は、最近のお金の動きや世の中の動きが、この10年ほどで大きく変わってきたといいます。

これまでは国が一括して管理する中央集権的な形が主流でした。

ところが、現在はみんながスマホを持ち、24時間リアルタイムでつながっているのが普通の状態になっています。

著者は、これまでの「中央集権的な形」が「分散化している形」に変わってきているといいます。

つまり、近代的な中央集権の社会システムの流れが、上下入れ替わってきているというのです。

 

これまでは権力を握っていた中央の人たちや、その間に入っていた人たちが強い力を持っていました。

ところが、これからは個人が力を持つようになるというのです。

 

この分散化の流れを受けて、新しい仕事が次々と出てきています。

例えば、UBER、Airbnbなどのような「共有経済」(シェアリングエコノミー)です。

UBERは、ただドライバーと個人をつなげているだけです。

Airbnbは、空き部屋や空き家を泊まりたい個人につなげている民泊サービスです。

共有できる範囲が世界中に広がり、巨大な経済活動として動き始めているのです。

今では2社とも、世界的な大企業となっています。

これらのサービスは、個人の余った資産を別の個人と共有することで、大幅にコストを下げられるメリットがあります。

 

次に、インフルエンサーやYouTuberなどがファンと作る「評価経済」です。

日本にも有名なYouTuberはたくさんいますよね。

中国では、7億人以上のスマートフォンユーザーがいるそうです。

そんな中で、一番稼いでいるインフルエンサーは29歳の女性だそうです。

ソーシャルメディアで500万人のフォロワーがいて、年収は50億円を超えるそうです。

これまでの常識では、とても考えられないような世界ですよね。

 

今までは、会社と個人の間でお金のやり取りがなされてきました。

ですが、今では個人と個人の間でお金のやり取りをする流れがメインになってきています。

 

もう1つは、仮想通貨やブロックチェーンといった技術を使った「トークンエコノミー」です。

トークンというのは、特定のネットワーク内だけで使うことができる独自の通貨のことです。

 

カナダでは、日本のLINEのようなアプリでKikというメッセンジャーアプリがあります。

Kikは「Kin」というトークンを発行しています。

例えば、Kik内でユーザーの活性化に貢献するようなコンテンツを作ってくれたクリエイターには、「Kin」が報酬として支払われています。

また、「Kin」はビットコインと交換して、現金に換えることもできるそうです。

中国では、すでに無人のコンビニが営業されています。

 

これからは、お金を持ち歩くことに価値はなくなってしまうでしょう。

それよりも、どのような経済活動の社会を作っていくかということの方が重要になるというのです。

 

ミレニアル世代と言われる1980年代以降に生まれた世代は、比較的裕福に育った世代です。

なので、お金や出世みたいなものにはモチベーションを感じにくいそうです。

物質的に満たされた世界では、人生の意義や目的といったものがより高い価値になってくるといいます。

これからは自分の人生の意義や目標を持ち、さらにそれを他人に与えられる存在になることで、どんどんその人の価値が上がっていくというのです。

 

例えば、グーグルでは「世界中の情報を整理して誰もが利用できるようにする」という会社の使命を掲げています。

フェイスブックでは「世界中の人々をつなげて、つながりを密にすること」を会社の使命に掲げています。

高い給料や手厚い福利厚生よりも、こういった社会的な使命に優秀な人たちが惹きつけられているというのです。

それは、グーグルやフェイスブックという会社が、その会社で働く人たちにも人生の意義や目的を提供できているからだというのです。

 

これからは「好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい」世の中になると著者はいいます。

それは、これまでの世界では認められてこなかった価値がたくさん存在するからだというのです。

 

人間の内面的な価値には、共感、熱狂、信頼、好意、感謝といったものがあります。

ですが、それらは目に見える形があるわけではなく、とても曖昧なものといえるでしょう。

ただ、これからはより多くの人たちが、そういった内面的な価値により高い価値があると感じて経済を動かしていくようになるというのです。

その人でなければいけない、その人だからこそできる、といった独自性や個性がそのまま価値につながりやすくなるのです。

重要なのは、自分自身と向き合った上で、自分の情熱を発見し自らの価値を育てていくことだといいます。

 

私は、約2年前までは仕事中心の仕事人間でした。

サービス残業だろうが、休日出勤だろうが、とにかくたくさん働くことが職場にとっても自分にとっても家族にとってもいいことだと思い込んでいました。

ところが、家事も育児も仕事も全力でやるとなると心身が持ちません。

 

結局、私はうつ病になり起き上がれなくなってしまいました。

そのような状態になって、初めてこれまでの自分の人生や身近な家族としっかり向き合うことができたのです。

自分にとって本当に大切なものは何なのか?

自分にとって優先しなければならないことは何なのか?

自分が本当にやりたいことは何なのか?

それらを自分に問いかけても、すぐに答えは出てきませんでした。

 

理由の1つは、これまでずっと仕事中心の生活だったために、自分の感覚や感性が完全に麻痺していたことがあります。

つまり、自分で自分のことがよくわからない状態になっていたのです。

職場にとって私のような人間は、まさに絶好な都合のよい社畜だったことでしょう。

 

私は、コーチングを学んだことでもっと自分らしい人生、自分にしかできない人生を生きていきたいと強く思うようになりました。

私のように、ミレニアル世代より上の世代で、自分の生き方にしんどさを感じている人は、まだまだたくさんいるのではないでしょうか?

今では、苦しい思いをしてきた私だからこそ、少しでもそのような人たちの助けになる生き方をしたいと考えています。

 

最近は、若い世代の人たちが人間らしい生き方に目覚めているといいます。

そして、それを後押しするようにITの技術もどんどん発達しています。

そういった流れがどんどん加速して、お金に振り回されてギスギスしていた世の中がなくなり、楽しくゆとりのある世界に変わっていけばいいのではないかと思います。