【読書レビュー】ケヴィン・ダットン、アンディ・マクナブ著「サイコパスに学ぶ成功法則」【要約】&【感想】
みなさんは「サイコパス」という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがある人なら、冷酷な殺人鬼のような人物を想像するかもしれません。
著者は成功するために、よいサイコパスの特性から7つの行動原則を教えてくれます。
1 実行あるのみ
2 ここぞというときに、やり遂げる
3 自分に正直になる
4 説得の黒幕になる
5 我関せずで怒りを抑える
6 いまを生きる
7 感情に流されず行動する
これらの特性については、本の中でさらに詳しく書かれています。
私はコーチでもあるので、どうしてもそれぞれの特性をコーチング目線で見てしまいます。
7つの行動原則は、コーチングとの共通点が多いことに驚きます。
では、サイコパスとコーチングは、どういったところが共通しているのでしょうか?
まずは、実践、行動あるのみ。
サイコパスもコーチングも、成功の秘訣はこれに尽きるのかもしれません。
考えるだけではなく、実際に行動してみること、実践することを重視しています。
先延ばしにすることなく、やりたいと思ったらすぐに行動することです。
完璧にできるかどうかは深く考える必要はないのです。
サイコパスは失敗をすることを「贅沢なことである」とまで言い切ります。
「失敗する」ということをこのようなレベルで考えることができれば、もはや恐れるものはありません。
そして、行動、実践を続けているうちに、結果的にいつの間にか目的を達成してしまっているわけです。
また、行動するためには、目標や自分が何を望んでいるのかということをはっきりさせなければいけません。
そのためには自分に正直になることがとても大事です。
そうでなければ、自分が本当にやりたいことや達成したいこと、欲しい物がわからないからです。
著者は、そもそも自分の目標が何なのか分かっていないために、目標を達成できない人がどれだけ多いことかと嘆いているほどです。
自分に対して正直であるということは、想像する以上に難しいことなのかもしれません。
私たちは、普段、たくさんの人たちに囲まれた中で集団生活を送っています。
「周りから仲間はずれにされないだろうか」
という不安。
あるいは
「周りのみんながやるから」
「周りのみんながやっているから」
「自分もそれらに合わせないといけないのではないか」
というプレッシャー。
そのような無言の圧力によって押しつぶされそうに感じたり、あるいは周りにいる人から何か言われたりしたことはないでしょうか?
こうしたときに大事なのは、周りの人から無理に好かれようとしないことです。
また、無理に集団の中に溶け込もうとしたり、グループに入ろうとしないことです。
多くの人から認めてもらう必要はまったくないのです。
多数派の意見と違う意見だからといって、自分の意見を言わずに我慢する必要もないのです。
あくまで、自分自身の考えや信念を貫き、自分のやるべきことに集中して、それを実践するだけです。
ときには周りから冷酷と思われることがあるかもしれません。
著者は、周囲から何かをするようにプレッシャーをかけられたら
「それは自分が褒められていると思えばいい」
のだといいます。
あまり周りの人たちに対して罪悪感を抱かず、自分に自身を持つことが大事なのだというのです。
そして、過去のことを思い悩まず、今を生きることが大事だといいます。
それは、過去を悔やんだり将来を不安に思っても、何もいいことはないからです。
これから先に起こるかもしれないことや、失敗するかもしれないことを心配しすぎて現在を見失うことのほうがよっぽど問題だといいます。
そうなってしまうのは、現在すべてが完璧にうまくいっているという事実を完全に見落としているからだというのです。
いまこの瞬間を生きるというマインドフルネスの手法が注目されています。
マインドフルネスは脳科学の分野でも効果が認められているのです。
今の自分を冷静に見つめ、自分の心に正直に従って生きることができれば、サイコパスの良い特性を生かし、より自分らしく生きていくことができるのです。
私は「サイコパス」という言葉は聞いたことがありました。
ただ、あまりいい意味で使われている言葉ではないと思っていました。
現代的な冷酷で犯罪者のような人を表している言葉だと勝手に思っていたのです。
サイコパスにはたくさんの特性があります。
・冷酷
・恐怖心の欠如
・自信
・高い集中力
・高いプレッシャーの中での冷静さ
・精神的な強さ
・魅力やカリスマ性
・共感度が低い
能力が高く見えたり、他人よりもすごく見えたりするプラスの面もあります。
一方で、それらの才能や能力は、裏を返せばマイナスの面として捉えることもできます。
私はコーチでもあります。
なので、本を読んでいると、サイコパスはコーチングに通じるところがとてもたくさんあることに気がつきます。
コーチングも使い方によっては悪用できるかもしれません。
ただ、私の個人的な感想としては、わざわざコーチングを学びに来る人にコーチングを悪用する人はいないと感じています。
ただ、それも絶対とは言い切れません。
サイコパスの能力は、元々生まれながらにして持っている才能や素質です。
コーチングに匹敵する強力なツールを生まれながらにして持っているわけです。
なので、生まれ育った環境や本人の性格などによって、サイコパスの才能をどのように使うかは人それぞれ違ってくると思います。
そこが、サイコパスの場合「いいサイコパス」と「悪いサイコパス」に分かれてしまう理由かもしれません。
著者もサイコパスには
・世の中で成功するかしないか
・社会の利益になるように行動するかしないか
など色々なタイプのサイコパスがいるといいます。
そこで著者は、サイコパスを4つのタイプに分類しています。
1 よくてよい
2 悪くてよい
3 よくて悪い
4 悪くて悪い
著者は、「よくてよい」サイコパスの代表的なキャラクターとして、007シリーズに出てくるジェームズ・ボンドを選んでいます。
ジェームズ・ボンドは、どのような型破りな行動をしても、自分の行動に罪の意識を感じたりすることはありません。
そして、たとえ命の危険があっても、その派手な立ち回りの中で死んでしまう心配を感じることもありません。
また、ピンチの状況における頭の良さや冷静さは知性の象徴でもあります。
優雅さと残酷さにかけては世界最高レベルといっていいでしょう。
次に「悪くてよい」サイコパスの代表的キャラクターとして、天才投資家、ゴードン・ゲッコーを選んでいます。
ゴードンは、自分のためだけにサイコパスの能力を発揮します。
無慈悲な企業買収をしながら投資活動を行っていくのです。
企業を乗っ取るとすぐに、お金になる良い資産を売り払い、お金にならないものは従業員もろともバッサリと切り捨てるというやり方です。
つまり、自分以外の他人のことなどはまったく気にしないのです。
次に、「悪くて悪い」サイコパスの代表的キャラクターとして、ハンニバル・レクターを選んでいます。
ハンニバルは、小説に出てくる精神科医でありながら殺人鬼でもある人物です。
どのようなキャラかというと、殺した相手の肝臓を食べた話をして気味の悪い音を出す、ほれぼれするような邪悪な一面を持っています。
無感情に悪を楽しむ、ぞっとするほど冷静な人物なのです。
最後に、「よくて悪い」サイコパスの代表的キャラクターとして、デクスター・モーガンを選んでいます。
デクスターは、アメリカのテレビドラマの主人公です。
血液飛沫の分析を専門とする警察の鑑識官でありながら、連続殺人鬼でもあるのです。
デクスターは、他人の死を楽しみたいという願望を満たしていきます。
ですがその反面、法律では裁ききれない殺人犯を始末していくことで、殺人犯から市民の命を守っているのです。
デクスターは、残酷で野蛮なケダモノのような人物です。
ただその反面、まっとうで控えめな洞察力のある人物でもあるのです。
つまり、デクスターという一人の人間の中に、善と悪の両方の要素が同時に存在しているのです。
今回の本を読んで、私はサイコパスに対するイメージがかなり変わりました。
元々のイメージどおりな面もあります。
ですが、悪い面よりもすぐれた面がたくさんあることが分かりました。
サイコパスは、まだまだ誤解をされているところが多いかもしれません。
ですが、サイコパスの良い面、すぐれた面を少しでも取り入れて、実践・行動してみる価値は十分あると思います。
そうすることで、飛躍的に自分らしい人生を送ってみてはいかがでしょうか。