【読書レビュー】ROLAND著「俺か、俺以外か。」【要約】&【感想】


みなさんは、ホストという仕事を知っていますか?

 

夜遅くまで高いお酒を浴びるように飲んで騒ぎまくる人たち。

女性をお酒で酔わせて、言葉巧みにお金を巻き上げている人たち。

外見がカッコ良く見られることにこだわっている人たち。

新宿歌舞伎町という日本最大の歓楽街でダークな世界と関わっている人たち。

そういったイメージはないでしょうか?

 

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私は、別のホストの方が書いた本をこれまでに読んだことがあります。

感想としては

「意外と高学歴の人たちが多い」

「売れているホストは、人が見ていないところで何かしらコツコツと努力をしてきている」

「実力の差がはっきりと数字で表される世界」

「売れているホストから学べることはたくさんある」

といったところです。

 

今回、またホストが書いた本を読もうと思ったきっかけですが

「本を書くほどなら何らか実力があり、売れている人なのだろう」

「面白そうだし学べることもあるだろうから、読んでみて損はないだろう」

という程度でした。

 

とはいっても、最初は急いで定価で買ってまで読もうとは思っていませんでした。

ですが、著者のことを密着取材している「ホストTV」というユーチューブの動画があることを知りました。

そして、その動画をなんとなく見てみたのです。

 

私は、すっかり著者の動画にハマってしまいました。

動画を見ていくたびに、私が思っていたホストのイメージもかなり変わっていきました。

 

私は男性ですが、ホストの話に夢中になってしまったのにはいくつか理由があります。

 

まず著者は、ホストでありながら仕事中にお酒を飲まないのです。

ホストという接客の仕事に対して、とても真摯にストイックに向き合っていました。

同時に、ホストという仕事を通して自分自身を人間的に磨き上げていました。

そのような著者の生き方や、仕事への取り組み姿勢、こだわり、考え方に正直とても驚きました。

 

著者のホストという仕事に対するプロ意識もスゴイと思うのですが、それ以上に、ホストという仕事を通じて磨き上げてきた人間的な魅力に強く惹かれました。

 

 また、著者は金銭的に裕福になってからも、お金持ちにありがちな浪費をする姿がありませんでした。

確かに、ホストという仕事柄もあり高級ホテルに寝泊りしたり、高級車に乗ったり、高級な服を着たりしています。

ですが、車にしても高級外車が2台だけです。

何十台も高級外車を買って、駐車場にコレクションしていたり、高額な靴が玄関に何足も並べられたりはしていないのです。

著者は、自分がいいと感じた厳選したものを大事に使っていくという考えを実践していました。

 

そして、著者がそのように大事にしてこだわっている物への一言一言は、著者の経験に裏打ちされた深さと重みを感じるものでした。

誰かの言葉を借りて話しているのではなく、著者の内側から言葉がにじみ出てきているのです。

著者がこれまでに様々な試行錯誤を重ねながら、考えて調べてこだわり続けてきたからこそ出てくるオリジナルの言葉だと感じました。

 

私は、率直にこの人はただ者ではないと感じました。

それで、急ぎアマゾンで本を注文したというわけです。

 

著者は「現代ホスト界の帝王」と呼ばれるほど超売れっ子のホストです。

それは別に大げさな表現ではないことは、動画を見たり本を読んでいけばよくわかります。

ただ、いくら売れっ子の実力者とはいえ、最初からそうだったわけではありません。

売れない時代がありながらも、その間に地味な努力をコツコツと積み上げてきたからこそ今の地位があるのです。

 

コネも金もないところから、ナンバー1ホストになるまでは、相当な努力を積み重ねてきたと思われます。

ナンバー1ホストになるまで、あるいは、ナンバー1ホストになってから著者がどういうマインド、心構えでやってきたのか、どのように生きてきたのか?

そういったところがとても学びになりました。

 

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ゴールや目標を達成していくというコーチングの視点から読んでいくと、まさにコーチングを学んで実践しているとしか思えませんでした。

動画を見たり本を読む限りでは、著者がコーチングを学んだ様子はありませんでした。

ただ、幼稚園から高校までずっとサッカーをしていたということなので、コーチング的な考え方に触れる機会はあったのかもしれません。

 

今の時点では明らかに高すぎる理想や目標を掲げ、それに向かって突き進む著者の姿はとてもコーチング的です。

過去は振り向かず、目標に向けて余計なものを取り除き、否定的な考えを克服し、一点集中して目標達成を目指していきます。

 

そういった著者の生き方から出てくる言葉には重みや深さを感じました。

目標を達成するために著者なりに工夫してきたことや考えてきたこと、悩んできたことなどが言葉の端々から雰囲気としてにじみ出ているのです。

 

私は、コーチでもあります。

なので、著者の考え方はコーチングを学んでいる私からすれば、とても参考になることが多かったです。

コーチングを知らない人が読めば、少し傲慢に感じたり、偉そうに感じたり、空気が読めない人だと感じたりするかもしれません。

それは、ホストというきらびやかな職業柄、ある程度は仕方がない面もあるかもしれません。

ですが、著者の生き方や考え方、こだわりにはホスト以外の仕事をしている人でも学べることや活かせることはたくさんあると思うのです。

 

著者は、ホストとして頂点を極めた後、すっぱりと現役ホストを辞めてしまいます。

そして、さらなる新しい世界に向けて、実業家としての人生を始めていくようです。

ただ、それは、個人プレイヤーとしてのホストを卒業するだけです。

今度は、お世話になったホスト業界全体を底上げしていくために、実業家という新しいステージで出発していくということなのです。

 

私が、著者に興味・関心を持ったのは、努力して成功した人というだけではありません。

それだけなら「この人、なんかいいな」というほどの好感を感じなかったと思います。

 

私が著者に対して人間的な魅力を感じたり好感を持った理由ですが

「自分の利益だけではなく、後輩ホストの成功のために力を尽くしていること」

「ホスト業界に対する偏見をなくすために、自分が社会の役に立つことをしていくことで、ホスト業界全体のイメージアップに力を尽くしていること」

「自分の失敗や弱いところも包み隠さずさらけだしていること」

「成功しても金銭的、物質的な欲望に溺れていないこと」

「自分の周りにいる家族やスタッフをとても大切にしていること」

といったところです。

 

それ以外にも、本の売上の一部は、カンボジアの子供の育成や東日本大震災への寄付に回すそうです。

その理由についても、著者が自分なりの考え方やこだわりをきちんと自分の言葉で話してくれています。

 

私の生活は、著者とは180度違う地味で質素な生活をしています。

服はユニクロやイオンで買った服を愛用しています。

車は18年、同じ車を乗り続けています。

食事も地元の産直市で買った安くて新鮮な食材を使って自炊をしています。

 

そんな私が、世界がまったく違う著者に対して、なぜか

「それもいいかもしれない」

と感じるものがあるのです。

 

私は、今の生活に何の不満も感じていません。

金銭的、物質的にすごく裕福とまではいえないまでも、十分に満たされています。

精神的な満足感も十分に感じています。

 

それでも私が、まったく違う世界の著者に対して「いいね」と感じるのは、著者の物や人に対する愛情や感謝の気持ちが伝わってくるからです。

「高級なものだから大切にする」

「自分にとって利益になるから付き合う」

「自分にとって都合がいい人だから相手にする」

といった損得勘定で人や物を見ていないのです。

 

あくまで自分がいいと思う物だから大切にする。

自分が大切にしたい人や仲間だから大切にする。

とても考え方はシンプルです。

計算高いところはまったく感じられません。

 

私も、普段着ているシャツにとても愛着を感じています。

車についても、夏の暑い日だろうと冬の寒い日だろうと手洗いで洗っています。

洗車する度に「いつも、ありがとう。」とぶつぶつ車に語りかけながら洗っているくらいです。

料理についても、食材そのものや作ってくれた農家の方にとても感謝の気持ちを感じながら料理を作って食べています。

 

私にとっては、家族である妻や娘が一番大切な存在です。

なので、私は、家族で過ごす時間を優先するようにしています。

私と著者は、人や物に対する基本の姿勢が少し似ていると感じるのです。

 

著者の生き方や考え方に触れることで、コーチングを知らない人でも、コーチングの要素を学ぶことができると思います。

また、コーチングを学んでいる人にとっても、新たに参考になることがたくさんあると思います。

 

ホストの世界というのは、今のところまだマイナーな世界だと思います。

今回の本は、ホストという非日常の世界を楽しみながら、コーチングについても学ぶことができる面白い本だと思います。