衛藤信之著「今日は、心をみつめる日」について
みなさんは、何をしているときが幸せだと感じますか?
たくさんお金を稼ぐことでしょうか?
高級車を買って乗ることでしょうか?
豪邸を建てて住むことでしょうか?
三ツ星レストランで最高級の料理を食べることでしょうか?
私は、パスコのぶどうパンを食べたり、(笑)子供や妻と仲よく健康な生活を送ることができれば、十分幸せです。
お金はそんなにかかりません。(笑)
ある企業のトップセールスマンの女性は
「母からは、1年に3日だけでもいいことがあったら、その年は最高の年だよ。」
と言われて育てられたそうです。
生きるのは苦しいのが当たり前で、3日もいいことがあれば、残りの362日はつらく苦しくても十分に幸福だという考えなのです。
このように考えると、何でもないような平凡な事柄が、このうえない幸せと感じられてくるそうです。
また、ドイツでは、「子供は失敗する権利がある」
と言って子供を育てるそうです。
「失敗する権利」という言葉を聞いて、それってどういう意味?
と思う方もいるのではないでしょうか?
どういうことかというと、ドイツ人は、たとえ子供が失敗をしても、それは彼らの特権であり、子供は成長するために、「子供は失敗する権利がある」と考えるのです。
また、ドイツのものづくりの精神にも
「失敗からよいものが生まれる」
という哲学があり
「失敗を重ねないといいものには出会えない」
という考えがあるそうです。
単に失敗に対して優しいだけではなく
「失敗は成功するための必要な条件なんだ」
ととらえることの大切さが強調されているのです。
私は、コーチングスクールに通っていた時に、「積極的に失敗をしなさい」と何度も言われました。
どういうことかというと、失敗というのは、ただ失敗しただけで終わるものではなく、成功へ向かって前進したという意味があるわけです。
失敗することで
「何が良くなかったのか」
「次はどうすればいいのか」
「次は、どういった工夫が考えられるのか」
など、実際に失敗してみることで見えてくることはたくさん出てきます。
つまり、失敗というのは、成功に向かうための知恵をたくさん生み出してくれる宝物ということになるのです。
そうなると、失敗は、もはや失敗ではなく、次に何かをやろうとするときに、心理的なハードルを下げてくれたり、次にやるべきことが明確になったり、次に何か行動をしても、成功しやすくしてくれるわけなのです。
小さな成功でも、それを積み重ねていくと、自然と自信もついてきて、次への行動もしやすくなってきます。
ところで、みなさんはどのようにして幸せを見つけますか?
例えば、誰かスゴイ人に会って、その人のありがたい言葉を聞いて、悩みを解決するでしょうか?
あるいは、パワースポットと言われている場所に足を運ぶことで、幸運が巡ってくるようにするでしょうか?
著者は、インディアンから次のようなことを言われました。
『「私たちの世界にやってくれば、何か神聖な物に出会える」
そう考えているだけでは白人たちと変わらない。
観光客気分でいる限り、ここには何もない。
ただインディアンの普通の生活があるだけだ。
きみの国にもグレート・スピリットと触れ合う方法があると言っていたじゃないか。』
それに対して、著者は正月に飾る門松のことを話しました。
そうすると、「それについて、もっと詳しく話してくれないか。」とインディアンから質問されたのですが、著者はほとんど答えられず、恥ずかしい思いをしたとのことです。
そして、「君には、私たちの生活を知る前に、すべきことがあるのではないか。
それは、君自身の、日本人としてのネイティブな心を研究することではないか?」
と言われたそうです。
つまり、幸福というものは「外側」に求めるものではなく「自分の内側」に求めるものだということなのです。
コーチングでは
あなたはこれからどうしたいのか?
何をしたいのか?
どうなりたいのか?
というゴールや目標設定をとても重視します。
これらの答えは自分の中にあるのです。
自分自身に対して、真摯に、丁寧に向き合うことで、答えは自ずと見えてきます。
私は、読書と気功が好きなので、とりあえず毎日、両方をしています。(笑)
著者は、インディアンの村で「パイプセレモノー」と呼ばれる儀式に参加しました。
どういう儀式かというと、参加者がパイプの煙を回し飲みしながら、それぞれ自分の思い(祈りや悩み)を打ち明けるというものです。
その儀式の中で、パイプはグレート・スピリット(大いなる神)と交信するための道具になります。
他の参加者は「ホウ」と相づちを打ちながら、その話に耳を傾けます。
著者が話す順番が回ってきたときに、著者は周りのみんなと同じ英語で話そうとしました。
そうすると、インディアンから
「日本人は日本の言葉で話せばいい。スピリットで聞けば、どんな言葉だって分かる。」と言われたのです。
著者も最初は驚き、ためらったそうですが、インディアンに言われたとおり、日本語で話すことにしました。
話した内容は、村へたどり着くまでの経緯や出来事、儀式に参加させてもらった感謝についてです。
すると、インディアンの人達は、話の内容をちゃんと理解しているように「ホウ」「ホホウ」などと、いろいろなニュアンスをもった相づちを、適切なタイミングで返してくれたのです。
著者は、安らぎとともに、深い感動を覚え、30人くらいいた参加者の間に「共感的理解」が静かに広がっていることが実感できたそうです。
言葉は少しも通じていないのに、「スピリット」はちゃんと伝わっていたということなのです。
つまり、耳ではなく心で聞き、考える力よりも感じる力に重きを置くことで、豊かなイマジネーションや深いストーリー性が養われるのです。
私は、フェイスブックを始めた頃、自分が投稿した文章にいくら「いいね」がつくかをとても気にしていました。
そして、あまり「いいね」がつかないと、「見てくれていないのかな」とか「考えが受け入れられていないのかな」とか「批判されているのかな」などと、心の中は不安や怖さでいっぱいになっていきました。
ですが、コーチングを学んでからは、そういった他人の評価は全く気にならなくなりました。
自分が何を発信をしたいのか?
相手に対して、何を伝えたいのか?
つまり、自分の内側に問いかけてみて、自分の内側から湧き出てくる答えをそのまま投稿するようにしたのです。
「自分が言いたいから言う。」ただそれだけです。
これまでの自分は、自分で自分に対して、不安や心配や他人の目を気にするといった、余計なものをくっつけていたのです。
不安や他人の目を気にすれば気にするほど、本当の自分が見えなくなっていきます。
忙しい時ほど、「今日は自分の心をみつめる日だ」と思って、自分に向き合ってみてはいかがでしょうか?
気にするほどではなかったこと、大げさに考えていたこと、自分の考えがどこかに埋もれてしまっていたことなどに気がつくことができるかもしれません。